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≪プロポーズ?≫
ソファに座って雑誌を読んでいた彼の背に、
呼びかけた。
「ねぇ、」
「はぁい?」
しばらく何も言わずにいると、不思議そうな顔で振り向いた。
「ん、どうしたの?」
「えっと、ちょっと呼んでみただけ。」
本当は聞きたいことがあったけれど、
振り向きざまの彼の顔が愛しくて、
つまらない事は飛んでいった。
「ずっとさ・・・」
「うん、」
「ずっと一緒いたいね。」
「ふふっ、もちろん」
肩を揺らし、嬉しそうに微笑ったあと、
ちょっと照れながら顔を傾け、決意を秘めた声で呼びかけられた。
「あのさ、」
「何?」
「作っちゃう?」
「ん、何を?」
「既成事実。」
「へ?・・・えぇ!」
「冗談。・・・ふふっ」
悪戯っぽく笑った彼の瞳の奥が、
いつになく真剣だったのを、
その時、私は見逃さなかった。
「つくる・・」
いつか叶えられる幸せな日々を想像しながら囁き声で返した。
きっと彼の耳には届かなかったのだろう、彼はサッ背中を向けてしまった。
しばらく経ってから、突然、
「あっ・・・指輪買わなきゃね」
彼の背中越しに聞こえ、頭の中で『アイラービューベイベー』と大熱唱してくれている。
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