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* * *
……う…そ…私、今、抱き締められて……。
この状況に、頭がついていかない。
さっきまでは、繋がれた手の指先から彼の熱が伝わっていたが、
抱き締められている今は、背中に回された腕からも、私の顔を押し当てている胸からも、
彼の熱が、体中から伝わってくる
『アヤカ、俺さ……』
胸に顔を当てているので、彼の声が直接響いてくる。
『アヤカが好きなんだ。』
ドク、ドクという彼の鼓動が、少し早まったように感じる。
『ずっと、好きだった。アヤカには、あいつがいるって分かってても……』
……え?あいつ、て……。
* * *
うーー、気になる。
あいつって、誰のことなんだろう。
恋助さんの小説を読んでいた私は、思わず携帯を持つ手をぎゅっと握り締めた。
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