第5章

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恋愛の噂なんて、あっという間に広がるものだ。 保健室で授業をサボった日の帰りには、「鈴村さんが加瀬くんに振られたらしい」という噂が、私の耳にも入ってきた。 加瀬くんは、鈴村さんと付き合っていなかった。 2人は特別な関係ではなく、私は今まで通り加瀬くんのことを好きでいていいのだ。 ――明日からまた、今まで通りに出来ればよかったのかもしれない……。 加瀬くんとバス停まで歩く2人の時間を、何事もなかったように今まで通りに……。 でも、私には出来なかった。 加瀬くんと2人の時間を過ごせば過ごすほど、私は加瀬くんをどんどん好きになっていく。 そしてそれと同時に、期待する気持ちも大きくなってしまう。 ……加瀬くんも、私と同じ気持ちでいてくれるんじゃないか、て……。 期待すればするほど、振られた時の傷は大きい。 次の日から私は、電車の時間を更に1本早くして、加瀬くんに会うのを避けるようになった。 これ以上、加瀬くんを好きにならないようにするために……。
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