33人が本棚に入れています
本棚に追加
恋愛の噂なんて、あっという間に広がるものだ。
保健室で授業をサボった日の帰りには、「鈴村さんが加瀬くんに振られたらしい」という噂が、私の耳にも入ってきた。
加瀬くんは、鈴村さんと付き合っていなかった。
2人は特別な関係ではなく、私は今まで通り加瀬くんのことを好きでいていいのだ。
――明日からまた、今まで通りに出来ればよかったのかもしれない……。
加瀬くんとバス停まで歩く2人の時間を、何事もなかったように今まで通りに……。
でも、私には出来なかった。
加瀬くんと2人の時間を過ごせば過ごすほど、私は加瀬くんをどんどん好きになっていく。
そしてそれと同時に、期待する気持ちも大きくなってしまう。
……加瀬くんも、私と同じ気持ちでいてくれるんじゃないか、て……。
期待すればするほど、振られた時の傷は大きい。
次の日から私は、電車の時間を更に1本早くして、加瀬くんに会うのを避けるようになった。
これ以上、加瀬くんを好きにならないようにするために……。
最初のコメントを投稿しよう!