第5章

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2人の姿が見えなくなってから、私はよろよろと立ち上がった。 いきなりしゃがんだせいで、持っていた紙袋を押し潰してしまった。 中を覗くと、パンが少し平べったくなっている。 「あーあ……」 私は、溜め息をついた。 とぼとぼとバス停までの道を、1人で歩いて行く。 私は、加瀬くんがどういう理由で鈴村さんと一緒だったか、知らない。 告白の返事をしたかどうかも、何て返事を返したのかも……。 でも、もし――、仮に告白の返事をしたとして、加瀬くんが断ったのなら、仲良く2人で並んで学校へ行くだろうか。 多少なりとも気まずさが生まれ、別々に行くんじゃないのかな……。 ……ということは。 まだ返事をしていないか、それとも……、 加瀬くんも鈴村さんのことが好きで、OKの返事をしたのかも……。 バスに乗ってからも私はずっとモヤモヤした気持ちを抱えたまま、その事が頭から離れなかった。 ************ 学校に着いて、私は教室の手前で中に入るのを躊躇った。 ……今は、加瀬くんと顔をあわせたくない……。 チラッと教室を覗くと、長谷部くんの席の周りには、長谷部くんも加瀬くんもいないようだった。
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