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2人の姿が見えなくなってから、私はよろよろと立ち上がった。
いきなりしゃがんだせいで、持っていた紙袋を押し潰してしまった。
中を覗くと、パンが少し平べったくなっている。
「あーあ……」
私は、溜め息をついた。
とぼとぼとバス停までの道を、1人で歩いて行く。
私は、加瀬くんがどういう理由で鈴村さんと一緒だったか、知らない。
告白の返事をしたかどうかも、何て返事を返したのかも……。
でも、もし――、仮に告白の返事をしたとして、加瀬くんが断ったのなら、仲良く2人で並んで学校へ行くだろうか。
多少なりとも気まずさが生まれ、別々に行くんじゃないのかな……。
……ということは。
まだ返事をしていないか、それとも……、
加瀬くんも鈴村さんのことが好きで、OKの返事をしたのかも……。
バスに乗ってからも私はずっとモヤモヤした気持ちを抱えたまま、その事が頭から離れなかった。
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学校に着いて、私は教室の手前で中に入るのを躊躇った。
……今は、加瀬くんと顔をあわせたくない……。
チラッと教室を覗くと、長谷部くんの席の周りには、長谷部くんも加瀬くんもいないようだった。
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