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加瀬くんの席を見ると、加瀬くんが長谷部くんと、他にも数人の男子に囲まれるようにして何か話している。
隣りの席で顔を合わす心配はなさそうなので、私はホッとして教室に入り自分の席に座った。
男の子達の声が、聞こえてくる。
どうやら今朝加瀬くんが鈴村さんと一緒だったのを見て、みんなが冷やかしているようだった。
「……何でもない、てことはないだろ。仲良く一緒に自転車登校しておいて。」
「……」
……やっぱりあのまま、学校までずっと一緒だったんだ……。
チクリと胸が痛む。
「鈴村、結構可愛いじゃん。良かったな、加瀬。」
「加瀬が鈴村を好きだったとはね。」
「……お前ら、俺の話ちゃんと聞けよ。」
「照れるなって。」
「いつから付き合ってんの?」
勝手に聞こえてくる声に、耳を塞ぎたくなる。
……も…や……聞きたくない…っ……。
いたたまれない気持ちになり、私はガタッと椅子を引いて立ち上がった。
教室を出ようと、前の入口に向かって歩き出した私に、
「あ、梨奈ちゃん。」
と、同じクラスの由理ちゃんが声をかけてきた。
その声に振り向いた時、偶然加瀬くんと目が合ってしまった。
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