33人が本棚に入れています
本棚に追加
感情が高ぶって、私は知らない間に涙が溢れていた。
「……どうして、泣くの…俺、何か……」
「……違っ…何でも……」
「でも、俺が理由なんだろ?」
「…っく…」
……どうしよう。加瀬くん、絶対困ってるよね。
それにこんなとこ誰かに見られたら、加瀬くんが泣かせたみたいに思われちゃう……。
私は、持っていたプリントを加瀬くんに差し出した。
「……ごめんなさい、私ちょっと…これ、お願い……」
私は加瀬くんにプリントを渡すと、俯いてその場を走り去った。
************
教室にはとても戻れなくて、私は保健室に来ていた。
「熱はないみたいだけど、顔が赤いしちょっと目が潤んでるわね。
風邪かもしれないから、空いているベッドに横になって休んでて。」
「はい。」
奥のベッドは誰かが使っていたので、私はカーテンを閉めてその隣りのベッドに横になった。
最初のコメントを投稿しよう!