第5章

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感情が高ぶって、私は知らない間に涙が溢れていた。 「……どうして、泣くの…俺、何か……」 「……違っ…何でも……」 「でも、俺が理由なんだろ?」 「…っく…」 ……どうしよう。加瀬くん、絶対困ってるよね。 それにこんなとこ誰かに見られたら、加瀬くんが泣かせたみたいに思われちゃう……。 私は、持っていたプリントを加瀬くんに差し出した。 「……ごめんなさい、私ちょっと…これ、お願い……」 私は加瀬くんにプリントを渡すと、俯いてその場を走り去った。 ************ 教室にはとても戻れなくて、私は保健室に来ていた。 「熱はないみたいだけど、顔が赤いしちょっと目が潤んでるわね。 風邪かもしれないから、空いているベッドに横になって休んでて。」 「はい。」 奥のベッドは誰かが使っていたので、私はカーテンを閉めてその隣りのベッドに横になった。
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