第6章

2/20
36人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
駅に着いて電車を降りてから、バス停までのいつもの道を1人で歩いた。 自転車が通る気配に、自然と体が反応してしまう。 ………加瀬くんのはず、ないのに。 保健室で授業をサボってしまった日から、今日でもう1週間になる。 私はあの次の日からずっと、更に1本早い電車に乗って登校していた。 正直、今の電車で行くのは早く着きすぎてしまうし、朝も時間がなくてバタバタしている。 それでも臆病な私は、加瀬くんとまた2人の時間を持つ勇気がなくて、彼に会うのを避けるために家を早く出ていた。 ************ 私が時間を変えた最初の日、加瀬くんはなかなか教室に姿を見せなかった。 朝の会が始まる少し前に、ガラガラと勢いよくドアを開けて加瀬くんが教室に滑り込むように入ってくる。 ……よかった、間に合って……。 私は、ホッと胸を撫で下ろした。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!