第6章

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「おーっす、どうしたんだよ。今日は遅いな。寝坊?」 長谷部くんが、ちょっとからかうように言った。 「ん…まあ、そうかな。」 加瀬くんはチラリと私を見ると、表情を変えずにすぐに視線を逸らした。 目が合ったのは、ほんの一瞬、1秒よりも短いくらいの短い時間。 たったそれだけの時間なのに、私の胸の音はドクドクドクと早まっていく。 加瀬くん、もしかして……、 私の事を待っててくれたんじゃ……。 私はただ、『時間、変えるね』としか言わなかったら、 加瀬くんは私が遅い時間に変えたと思って、それで……。 ……まさか、ね。 加瀬くんが私を待つなんて、そんな事する必要ないもの……。 ……私、加瀬くんが遅くなった理由を自分のせいだと思うなんて、 いつからそんな、図々しい勘違いするようになったんだろう……。
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