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「おーっす、どうしたんだよ。今日は遅いな。寝坊?」
長谷部くんが、ちょっとからかうように言った。
「ん…まあ、そうかな。」
加瀬くんはチラリと私を見ると、表情を変えずにすぐに視線を逸らした。
目が合ったのは、ほんの一瞬、1秒よりも短いくらいの短い時間。
たったそれだけの時間なのに、私の胸の音はドクドクドクと早まっていく。
加瀬くん、もしかして……、
私の事を待っててくれたんじゃ……。
私はただ、『時間、変えるね』としか言わなかったら、
加瀬くんは私が遅い時間に変えたと思って、それで……。
……まさか、ね。
加瀬くんが私を待つなんて、そんな事する必要ないもの……。
……私、加瀬くんが遅くなった理由を自分のせいだと思うなんて、
いつからそんな、図々しい勘違いするようになったんだろう……。
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