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…え、加瀬くん…?
いつもは私の方が先に駅に着いていて、バス停へ向かう途中で後ろから加瀬くんが通りかかる。というのが、今までのパターンだ。
それなのに今日加瀬くんは、自転車から降りて駅の南口に立って待っている。
私が近づくと、加瀬くんはもう一度チリンと自転車のベルを鳴らして言った。
「聞こえた?」
「…あ…うん…」
どうして?と言わんばかりの顔をしている私に、加瀬くんは鼻の頭をぽり、と掻いた。
「ごめん。」
「え…」
…どうして加瀬くんが謝るの?
謝るのは私の方なのに…。
不意をつかれた言葉に、さっきまで考えていた事は、全部ふっ飛んでしまった。
ボーっと立ち尽くす私に、加瀬くんは更に追い討ちをかける。
「ごめん。いつもの時間に、て言っといて。つい、早く来ちゃってさ。」
「…っ…」
「こっちで待ってた方が早く会えるかな、て思ったんだけど……驚かせちゃった、な。」
「……」
加…瀬くん…分かってるのかな……。
今の…すっごい殺し文句…。
*
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