第7章

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加瀬くんはもう一度ぽり、と鼻の頭を掻くと、 「行こうか。」 と言って先に歩き出した。 私は慌てて、その少し後ろをついて行った。 …久し振りだな…この角度の加瀬くん…。 斜め後ろから、自転車をひきながら歩く加瀬くんの横顔に、私は見とれていた。 横に並んで歩く時もあるけど、その時よりも堂々と、間近で加瀬くんを見つめることができる。 そして、時々首だけを後ろに向けて、フワリと微笑まれるその顔があまりにも優しくて…、 私は何度も、キュンとさせられた。 幅広い道に出たので、並んで歩こうという空気になり、加瀬くんが振り返って私が横に来るのを待っている。 隣りに並んで歩こうと私が足を早めた時、遠くの方を見やった加瀬くんが、 「あ、」 と、何かに気付いたような声を出した。 何かな、と思って私が振り返ろうとした時、加瀬くんが私の手首を取ってグッと引っ張った。 *
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