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次の日の朝。
少し微熱があったけれど、私はいつも通りに学校へ行った。
さつきと放課に話していると、またくしゃみが出る。
「クシュっ」
「梨奈、風邪ひいたの?」
視線を感じて顔を向けると、加瀬くんが、私がくしゃみをしたのに気づいて、心配そうにチラチラとこちらを見ていた。
何でもない、という様に軽く首を横に振ってから、さつきに答える。
「ううん。大丈夫だよ。ちょっとくしゃみが出ただけ。花粉症かな?」
「今、そんな時期じゃないでしょ。」
「あ、そっか。」
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そして体育の時間。
朝よりも症状が悪化しているようだ。
寒気がして、体が少しフワフワする。
見学にしようかなとも思ったけれど、そのままバレーボールの練習に参加した。
…もう少しで授業も終わるし、お昼休みに保健室に行ってこよう…。
ぼーっとした頭で考えていると、顔の横を軽く擦って、ボールがシュッと横切った。
…び、びっくりした…。
驚いて後ろに下がると、バランスを崩してよろけてしまう。
「ごめん、広崎。当たっちゃった?」
岡田くんが、近寄って声をかけてくれた。
ボールは、加瀬くんのアタックしたボールをレシーブしようとした岡田くんが、コートの外に飛ばしてしまったものらしかった。
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