33人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
「その中に、嫌いなものないけど…」
唐突な私の質問に、加瀬くんは怪訝そうな顔で私を見た。
座っているので、いつもより近い目線の高さで見られ、ドキリとしてしまう。
「あ…あの、ね…」
私は膝の上に置いたカバンに目線を移して、なるべく動揺を悟られないように、話した。
「ピザ、加瀬くんに食べてもらいたくて…」
「えっ、俺?」
驚いたように声を上げる加瀬くんに、私は少なからずショックを受ける。
『広崎が作ったの、また食べたい。』
そう言ってくれたのは、単なるお愛想だったのだろうか。
カップケーキを貰ったことへのお礼の気持ちを、
「美味しかった」
という言葉で贈るのと同じ様に、かけてくれた言葉だったのかもしれない。
それなのに私は、その言葉を真に受けてしまって…恥ずかしい…。
私は慌てて、首を横にぶんぶんと振った。
「いいの。ごめんなさい、押しつけるような事言って…」
「え?あ、違うよ、広崎。」
加瀬くんは、慌てて発言を取り消そうとする私に、声をかける。
*
最初のコメントを投稿しよう!