第9章

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「その中に、嫌いなものないけど…」 唐突な私の質問に、加瀬くんは怪訝そうな顔で私を見た。 座っているので、いつもより近い目線の高さで見られ、ドキリとしてしまう。 「あ…あの、ね…」 私は膝の上に置いたカバンに目線を移して、なるべく動揺を悟られないように、話した。 「ピザ、加瀬くんに食べてもらいたくて…」 「えっ、俺?」 驚いたように声を上げる加瀬くんに、私は少なからずショックを受ける。 『広崎が作ったの、また食べたい。』 そう言ってくれたのは、単なるお愛想だったのだろうか。 カップケーキを貰ったことへのお礼の気持ちを、 「美味しかった」 という言葉で贈るのと同じ様に、かけてくれた言葉だったのかもしれない。 それなのに私は、その言葉を真に受けてしまって…恥ずかしい…。 私は慌てて、首を横にぶんぶんと振った。 「いいの。ごめんなさい、押しつけるような事言って…」 「え?あ、違うよ、広崎。」 加瀬くんは、慌てて発言を取り消そうとする私に、声をかける。 *
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