第9章

14/23

33人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
「嫌なんじゃなくて…その…少し驚いただけで…」 「…うん…」 「ありがとう。」 「…うん…」 「この前くれたカップケーキも、おいしかった。」 「ほんとに?良かった。」 優しい言葉に、キュン、と胸の奥が疼く。 加瀬くんは、少し照れたような表情を浮かべて話し始める。 「広崎が作ったの、また食べたいな、て思ってたけど…、 森島にあげるって言ってただろ? だから今回は貰えないかな、て思ってたんだ。でも…」 「……」 「本当は食べたかった。広崎の手作りのピザ。」 「…っ…」 「…あのさ…三浦に断ったのは…俺にくれようと思ってたから?」 「…うん…加瀬くん、カップケーキの時も喜んでくれたし…また加瀬くんに貰って欲しいな、て思ってたから…」 「……」 加瀬くんは、ポリと鼻の頭を掻いて言った。 「…それ…嬉しすぎ…」 「…あ…えっと…」 「ほんと、メチャメチャ嬉しい。」 「……」 「楽しみだな。」 ほわっと心が、温かくなる。 加瀬くんが、私が作る物を楽しみにしてくれている。 それだけで私は、嬉しくて幸せな気持ちになった。 「三浦に取られそうだから、見つからないにしよう。」 加瀬くんは、照れ臭そうに笑った。 *
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加