第9章

15/23

33人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
不思議。 クラス発表の日には、加瀬くんに話しかけられてフリーズしてしまい、 返事をすることも頷くことも出来ないくらい、カチカチに固まってしまっていたのに……。 今は、こんな風に待ち合わせて同じベンチに座って、私からも話しかけている。 一緒に、笑いあっている。 もちろん、今だってドキドキしている。 息苦しいくらい、胸がきゅうっと締め付けられたり、フリーズして声が出なくなることもある。 けれども、たまに訪れる沈黙も、前ほど気まずさは感じない。 それはきっと、加瀬くんのおかげだ。 私がフリーズしてしまい、言葉を返せなくなってしまうと、 加瀬くんは一瞬、あれ?という顔をする。 でも、言葉にしなくても、加瀬くんには私の気持ちが伝わっていて、 「広崎は、こういう風に思ってるんだろ?」 みたいに確認される。 私はコクンと頷き、とても安心した気持ちでいっぱいになる。 …大丈夫だよ。俺にはちゃんと伝わってるよ…。 そんな風に、加瀬くんに言ってもらってるみたいで…。 *
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加