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でも時々、たまにだけれど、加瀬くんが全然見当違いの解釈をしていることがある。
そんな時私は、慌てて加瀬くんの解釈を訂正する。
「違うの。私が思ってるのは、そうじゃなくて…」みたいに。
何故かそういう時は、意識が加瀬くんの言葉に集中しているせいか、フリーズしていた筈なのに、自然に声を発することが出来るのだ。
不思議。
加瀬くんといると、フリーズしていてカチカチに固まっていた私が、いつの間にか溶かされている。
それは多分、
加瀬くんの陽だまりのような暖かさと、
加瀬くんを好きだという、私の心の熱が、
フリーズした私を溶かしているのだ。
スッ、と加瀬くんの手が伸びてきて、私の髪に触れた。
顔にかかる髪を軽くかきあげて、私の顔を覗き込んだ加瀬くんは、ホッとしたように言った。
「良かった…ボールが当たった跡、もう治ってるな。」
「…うん。もう大丈夫。」
加瀬くんの指が頬に当たり、ドキリとする。
恥ずかしさから俯くと、加瀬くんの手が引っ込められた。
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