第9章

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「あの日さ…」 ぽつりと加瀬くんが、話し始めた。 「保健室に戻ってきて、もうすぐ先生が来ることを伝えたら、広崎が俺が突き指してるかを気にしてくれてて…」 「うん…」 「俺は大丈夫だよ、て答えたら、そこから広崎の返事がなくなって…たぶんそのあたりで、寝ちゃったんだと思うんだ。」 「うん…ごめんなさい。話の途中で、寝たりして…」 小さく俯いて謝ると、 「謝らなくて、いいって。」 加瀬くんは、フワリと微笑みながら言った。 「…でさ…その後のことなんだけど…、 広崎が思い出したの、て何?」 「はっきりと思い出した訳じゃないの…ただ…もしかして、て思うことがあって…」 「…それは、広崎のこと?」 「…え…」 「広崎が見た夢の内容とか、寝言で言った言葉とかだけ?」 「…うん…」 「…俺の事は、何も思い出してないの?」 「え…」 「俺が言った言葉とか…記憶にない?」 ……加瀬くんの、言葉? 私は懸命に、記憶を手繰り寄せた。 「…夢なのか現実なのか、分からないけど、加瀬くんに名前を呼ばれたような気がする…」 「うん…」 「内容は分からないけど…夢に加瀬くんが出てきて、それから…」 *
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