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「…その後に…広崎が寝言で…」
自分が口にしたであろう言葉を思い出した私は、一気に耳まで真っ赤になってしまう。
「…『好き』て、言ったんだ…」
「…っ…」
…やっぱり私、加瀬くんに「好き」て言っちゃってたんだ…。
どうしよう…それ聞いて、加瀬くんは何て思ったの?
…こわい。加瀬くんの気持ちを聞いてしまうのが…。
恥ずかしいのと、加瀬くんの反応を見るのが恐くて、私は目を開けられない。
と、ぎゅっと目を瞑って閉ざしている視界が、更に光を遮られて暗闇になった。
夕方になり、照らす力の弱まった太陽からの光は、さっきまで閉じられた私の瞼にも僅かに届いていたのだが、
その僅かな光も、片手をベンチの背もたれについて、もう片方の手を私の肩に置きながら、
おでこに向かって寄せられた加瀬くんの顔に、遮られてしまった。
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