第9章

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駅に着いて、バス停までの道に向かって歩き始める。 後ろから、もう聞き慣れた自転車のベルを鳴らす音が聞こえ、どき、と心臓が跳ね上がった。 振り向くと、自転車に乗った加瀬くんが、すぐ後ろまで来ていた。 「おはよ。」 「…おはよう。」 挨拶を交わす時にフワリと微笑まれ、私はホッと胸をなで下ろす。 …よかった。避けられてはないみたい…。 様子を窺うように、チラッと加瀬くんの方を見ると、 ほんの少し後ろを歩く私を気にして振り返る加瀬くんと、バチッと目が合った。 お互いに、ぱっと目を逸らす。 「……」 「……」 …今の、すっごく不自然だったよね。 私だけじゃなくて、加瀬くんも…。 避けられてはいないけれど、加瀬くんの態度がどこかいつもと違う。 「…久し振りだな。一緒に行くの。」 「…うん。」 会話も、ぎこちない。 しばらく沈黙が続いて、加瀬くんが立ち止まった。 ドクン。 胸を打つ音が、大きくなる。 加瀬くんは振り返ると、ためらいがちに私に聞いた。 *
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