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「あのさ、この間の保健室の話なんだけど…」
「うん…」
「もしかして、広崎…あの後の事、思い出したの?」
「……」
「何かさ、今日、いつもと違うから…」
それって…、
思い出したら、いつもと違っちゃうような事だった、てことだよね。
…やっぱり私、加瀬くんの前で「好き」て言っちゃったんだ…。
かあっと赤くなって顔を背けた私を見て、加瀬くんは、ポリ、と鼻の頭を掻いて言った。
「そっか。思い出したんだ。」
「…うん。はっきりとじゃないけど、たぶんそうかな、て…」
「覚えてるってことはさ、広崎、あの時まだ意識あったんだな。」
「…そう…なのかな…」
チラッと加瀬くんを見ると、照れたような困ったような顔をしている。
あんな事言われても、困るよね。
しかも寝言だから、返事して断ることも出来ないし…。
…このままじゃ、気まずくなっちゃう…。
そんなの…いや…。
そう考えた私は、俯いて視線を下に向けたまま、加瀬くんに話しかけた。
*
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