第9章

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「…何か、俺ら、話が噛み合ってないみたいだな。」 「え…」 「また…すれ違うところだった。」 「あの…どういう…」 事情を飲み込めない私を見て、加瀬くんはクスリと笑う。 「広崎って、結構おっちょこちょいなんだな。」 「えっ」 「…くっ…ごめ…」 「……」 …な…何で私、笑われてるの? だって加瀬くん、さっきまで怒ってたみたいだったのに…。 ?マークがいっぱいのキョトンとした顔の私に、加瀬くんはクスクス笑いながら話しかけた。 「広崎、今の状況、全然分からない?」 「う、うん。」 「それじゃあさ…今日の帰り、少し話そうか。」 「帰り、に?」 「うん。だから今日の帰り、一緒に帰ろう。」 「えっ?」 「今日は先生達の都合で、どの部活も休みだろ?」 「…うん。」 「他の奴に見つかるとうるさいから…そうだ。 前にカップケーキをもらって食べた公園。 あそこで待ち合わせしよう。」 「……」 フリーズした私は、コクンと頷く。 「じゃ、帰りにまた話そうな。あ…」 加瀬くんは、自転車に跨がってから、振り返って言った。 「これ、俺と広崎の秘密、な。」 「…っ…」 私を息苦しいくらいドキドキさせたまま、加瀬くんは自転車をこいで行ってしまった。 *
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