第9章

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「俺、ピザ大好き。食べたいな、それ。」 「あれ、何で三浦、うちのクラスにいるの?」 「数学の教科書忘れちゃったから、加瀬ちゃんに貸してもらおうと思って。」 「しょうがないな。待ってろよ。」 加瀬くんは、一度自分の席に戻って教科書を取ってくる。 「サンキュー。助かった。」 三浦くんは、にこにことした笑顔でお礼を言うと、クルッと桃子ちゃんの方に向き直った。 「で、ピザ作るのはいつ?俺、家庭科室に桃子ちゃんを訪ねていけばいい?」 「え?あ、ごめーん、三浦くんの分までないかな。ヒロくんにあげちゃうから。」 「……」 桃子ちゃんにピザを貰えないことが分かった三浦くんは、私に視線を移す。 「…梨奈ちゃん…」 三浦くんはまた、あの子犬の瞳で私に訴えかける。 「俺、ピザ食べたいな。」 「……」 …三浦くんのこのウルウル目で言われると、ほんと弱い…。 …でも…、 私は加瀬くんをチラリと見た。 カップケーキをあげた時、加瀬くんは言ってくれた。 『広崎が作ったの、また食べたい。』 ピザをあげると約束した訳ではないけど、今度お持ち帰りできるような物を作ったら、また加瀬くんにあげたいな、と思っていた。 *
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