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「俺、ピザ大好き。食べたいな、それ。」
「あれ、何で三浦、うちのクラスにいるの?」
「数学の教科書忘れちゃったから、加瀬ちゃんに貸してもらおうと思って。」
「しょうがないな。待ってろよ。」
加瀬くんは、一度自分の席に戻って教科書を取ってくる。
「サンキュー。助かった。」
三浦くんは、にこにことした笑顔でお礼を言うと、クルッと桃子ちゃんの方に向き直った。
「で、ピザ作るのはいつ?俺、家庭科室に桃子ちゃんを訪ねていけばいい?」
「え?あ、ごめーん、三浦くんの分までないかな。ヒロくんにあげちゃうから。」
「……」
桃子ちゃんにピザを貰えないことが分かった三浦くんは、私に視線を移す。
「…梨奈ちゃん…」
三浦くんはまた、あの子犬の瞳で私に訴えかける。
「俺、ピザ食べたいな。」
「……」
…三浦くんのこのウルウル目で言われると、ほんと弱い…。
…でも…、
私は加瀬くんをチラリと見た。
カップケーキをあげた時、加瀬くんは言ってくれた。
『広崎が作ったの、また食べたい。』
ピザをあげると約束した訳ではないけど、今度お持ち帰りできるような物を作ったら、また加瀬くんにあげたいな、と思っていた。
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