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第四章ふたたび別れ
※※※※
電話の相手は、家出していた息子だった。
「母さん、ご無沙汰しています。」それが、彼の最初の言葉だった。
電話を切った後、息子と話した事を、“まる”に教えてあげた。
息子には彼女ができた事、そしてその人と、結婚を考えているらしい。
その彼女が、きちんと私に話せと言ったらしい。
良い子のようだ。
仲直りしろと、息子に言ったそうだ。
ついつい笑顔で、私は“まる”に話しかけていた。
時々“まる”は、私の話を聞いているように視線を向ける。
そのように見えた。
近いうちに、息子がこの家にやって来るかもしれない。
そうしたら、“まる”を紹介しなくては。
ビックリするだろう。
私が、猫を飼っているなんて。
あの子も、“まる”を好きになってくれるかしら。
“まる”も、息子を気に入ってくれるかしら。
早く、その日がくればいい。
私は、幸せだった。
一本の電話で、人生が変わるとは。
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