第一章出会い

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やさしそうな人、第一印象はそんな感じ。 「この子は、なんていう名前ですか。」 そう聞かれて、初めてまだ名前を付けていないことに気がついた。 まだ付けていないと答えると、「じゃあ、これから付けてあげませんか。」 ということになり、二人で色々と考えることになったのだ。 キラキラネーム、さも猫らしいもの、人間の子供にいるようなもの、どんなものが良いだろう。 ミーと、可愛い声を出すからミーはどうだろうかと子猫を見ると、不満そうな表情をしているように見える。 考えていることがわかるはずはないので、たまたまそう見えただけだろう。 「チャチャなんてどうかしら、毛並みも茶色だし。」 そう言うと子猫は、偶然「フン」と、まるで嫌だというように声を出した。 人語、判るのかなあ。 そんな訳はないか。 「目がまんまるで、とっても可愛いいから、まるちゃんはどうですか。」 彼がそう言うと、子猫は嬉しそうにミャーと鳴いて、彼の足にすりすりした。 「何か気に入ってくれたみたいですね。」 それで、この子の名前は“まる”に決定した。 それが、きっかけで二人と一匹は、公園で時々一緒に過ごす仲となった。 その時間は、私にとってすごく楽しいものとなった。 ※※※※ そして、公園で彼に出会って半年がたった頃、私は部屋で“まる”に話しかけていた。 「ねえまるちゃん、彼と私はこれからどうなるんだろう。」 「恋人とか、結婚とか、でも彼はもてそうだし、私は美人でもないしね。」 “まる”は、普段は部屋ではあまり声を出さない。 ただ、その日は小さな声でミャミャミャと鳴いた、そしてまん丸い目で、何故か「大丈夫」というように私を見つめて、その後ご飯を要求した。 あの大丈夫は、何だったのだろう。 この子といると、時々不思議な感覚になる。 よくペットを飼う人は、家族として暮らすというが、それとも少し違う気がする。 その瞳の耀き、猫じゃなく見える時がある。 私がそんな事を思っていると、この子は無邪気に甘えてきた。 手でじゃれてくる、猫じゃらしで遊び始めた。 やっぱりネコそのもの。 気のせいだ。
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