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第一章出会い
私は、今落ち込んでいる。
この世の中には、死というものがどうしても存在する。
生まれて、生きて、そして死んでいく。
みんながそれを受け止めている。
そんなことは、当たり前だからね。
ただ、見えているものはそうだけれど。
※※※※
私は、出会ってしまった。
その子と、その愛くるしいまなざしと。
私は、三十三歳。独身、彼氏なし。
なんて寂しい、そんな事を最近思ってしまう。
そんな私が、大型スーパーに買い物に行き、たまたまペットショップの前で立ち止まった事が始まりだった。
小さな女の子が、子猫のケースの前で立ち止まり、ずっと動かない。
「可愛い。欲しい、ママ、買って」
女の子は。ケースの中にいる子猫を指差して母親にねだっていた。
ペットショップの店員さんが、「抱いてみますか」
と声を掛けてケースの中から子猫を出した。
女の子は、嬉しそうにその子猫を抱きしめた、
本当に嬉しそうそうだった。
女の子も、子猫も。
だがしかし、母親は無情にもこう言った。
「だめよ、パパは猫が嫌いでしょ。」
女の子はあきらめきれずおねだりをしたが、最後は子猫が14万円したのが致命傷だった。
「そんなお金はありません。」
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