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「こうなるってどうなるんですか?」
ちゃんと説明して欲しい。ここからでは恭介さんに何があったのかわからない。佐伯は含みを持たせてばかりでハッキリと言ってはくれないし、モヤモヤと胸の中に嫌な気持ちばかりが沸き起こっていく。
「ほら、真人くんの出番だよ」
肩を叩かれて立ち上がるとふわりと恭介の香りが目の前に漂った。あれと思う間もなく抱き締められてしまう。
「恭介、さん?」
「真人……悪い。ちょっと匂い嗅がせろ。気持ち悪い」
恭介の体臭に混じって微かに女性ものの香水の匂いがした。ああ、これのせいかと気づくと同時に、共演する女性モデルに何をされたのだろうと嫉妬心が芽生えた。
「何かあったんですか?」
「撮影の間恋人のフリしてなきゃならないから、密着度高いんだよ。真人だって思いながら何とかしてたけど限界。ちょっと補充」
「ここ、外ですよ……」
「別に知ったことじゃねえよ。ゲイだと取り沙汰されようがどうでもいい……ああ、でもお前は困るか」
「俺は誰に見られてても気づかないので」
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