第1章 ミーツ!

1/73
前へ
/203ページ
次へ

第1章 ミーツ!

身に染みた日常なんて、呆気なく幻にかわる。 ――そんなこと、わかりきっていたはずだったのに。 私立桃華学園は、その可愛らしい名前とは裏腹に、全寮制の男子校だ。本州から離れた孤島に位置する、敷地の広いおぼっちゃま学校。そんなところに縁も縁もないと思っていたのは中学時代の俺であって、今はどっぷりとその、おぼっちゃま、の中の一員だ。――第一志望の公立の共学校に落ち、友達の付き合いで受けたここに入学することになるなんて、本当にアンラッキー極まりない。余裕で受かると思ってて、滑り止めを他に受けていなかったあの頃の自分を殴りたいガチで。 設備に不服はないし、友人にだって恵まれている。じゃあ何が不満かというと、――女の子がゼロなんだよおぉ。 ――鈴宮流は、学園でも有名な、女好きだった。     
/203ページ

最初のコメントを投稿しよう!

666人が本棚に入れています
本棚に追加