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「ていうか、意味がわかりませーん」
入学してから一年が経とうとしている頃、俺は生徒会室に呼び出された。生徒会室なんて、一般生徒にはほとんど縁がない場所だ。事実、今日呼び出されるまでは、一度も足を運んだことがない。革張りのソファー、大きなデスク、役員の数だけ用意されたパソコンは、とてもじゃないが高校の一室とは思えない。ここって会社だったっけー?
更に、奥の机の向こう、椅子に座った現生徒会長が発した言葉もよくわからなくて、俺は上記の間の抜けた声を出した。この部屋には、会長と俺しかいない。
「いやわかるやろ、次期会計を流クンにやってもらいたいっちゅー簡単なハナシ」
「あは、やだもー会長ったら冗談ばっかりぃ……」
会長は胡散臭い関西弁で、少しウェーブのかかった傷んだ金髪を真ん中にして分け、鋭い目許をサングラスで隠していた。容姿も胡散臭い。敢えて軽い調子で返事をすると、会長はニッコリと笑った。つられて俺も、ちょっと笑う。
「アホ、冗談でんなこと言うわけあるか」
「だから、意味わかんないってばー。俺、全然、生徒会に関係ない一般生徒っすよー?」
「俺には関係あるやろ」
「それは……」
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