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きらきらという効果音とともに現れたのは、学園でも有名なホスト系双子の千堂兄弟。ウィンクしながら物騒なことを言われ、鼻を鳴らしてカップを確かめる。赤みかかった薄茶色の液体は、アッサムとか言っても通用しそう。ちらりと見て、ここは飲まなきゃ男じゃねーと言われるような視線を感じ、手前のカップを手に取る。警戒しつつも一口飲み込む。鼻を抜ける紅茶の香り、そして。
「っぶはあっ!? みっ、みずみずみずみず」
「ふふ、刺激が強すぎたかい?」
「水が欲しいなら、……口移しはどうかな?」
優雅に笑うのが兄の真宏、口ん中が燃えるように辛くて最早泣き出しそうになっている俺の顎を掴んで優雅に笑うのが弟の真白。俺はぶんぶん首を横に振って、真白の持つミネラルウォーターを奪ってがぶ飲みした。マジ辛い。
「っぷは、……ほんと、タチ悪い悪戯すんなってー」
「可愛らしい悪戯じゃないか」
「日常にちょっとしたスパイスは、必要だろ?」
「そのまんま辛いのはゴメンだってばー」
うー、まだヒリヒリする。口元をごしごし拭っていると、目の前に缶コーヒーが差し出された。
「ありがとー」
無言で俺の大好きなマックスコーヒーを差し出してくれたのは、かわいい後輩の平良くん。190近い長身で迫力があり、ゴツいけど、まあかわいい。こんなふうに、俺の好みをわかっているところとか、ちゃっかり仕事を片付けてくれるところとか。平良は無表情のまま頷いて、俺の前の席で再び淡々と仕事をしだした。うーん、クール……。
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