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ちなみに今は五月。どうせなら入学式に来いよって時期である。濡れた髪をタオルでごしごしと拭いながら尋ねると、「そこなんだよ!」と、がしっと肩を掴まれる。こんなに興奮している雫を見るのは、俺の生徒会入りが決まったとき以来だ(ちなみにそのときは、「チャラ男幼なじみが生徒会会計とかうますぎる」とか何とか言っていた。チャラ男呼ばわりに腹が立って殴った)。
「時期はずれとか絶対ェワケありに決まってる! トレジャーハンターとか祓魔師とか……くう、熱いぜ!」
あかん、妄想が爆発してる。瞳を輝かせる幼なじみを見て、俺はそっと頬を撫でた。
「マジで、イケメンなのにもったいねー」
「萌えに顔は関係ない」
あ、格好付けた。ふっと笑って髪を掻き上げ、満足したのか雫は俺から離れて行った。
「まあ、どんなワケあり転入生でも、俺には関係ないけどねぇ」
「甘い、甘いぞ流」
「へ?」
ぼそっと洩らしたら、再び雫が瞳を光らせた。
「王道学園に王道生徒会、そして王道転入生とくれば! 転入生はいずれ生徒会に関わってくる、さしずめ会長辺りと恋に落ちるんじゃね?」
うわあ真顔で何言ってんのこの子……。
「あのね、男子校だようち。転入生も男の子でしょ。会長も男の子だよ」
「男の子って容姿じゃねーけどな。つか今更それを言うか、このホモの巣窟で」
「う……」
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