第1章 ミーツ!

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そう。周りに男しかいないこの学園は、可哀相に六割の生徒が男に走る。思い返せば、去年何度か哀れなバンビちゃんに告白されて、必死で逃げたような……(だってあの子たち、「俺は女の子が好きなのー」という断り文句が通用しない。「女より良いから確かめて」とか言ってくる。こわい)。ちなみに残り二割が雫を代表とする二次元・妄想専門で、残り一割が生徒会長を代表とする恋愛なんて興味ねえぜ・夏、最後の一割が俺を代表とする女の子大好き派である。うわ、やばい。少子化の責任の一端、絶対この学園が担っちゃってるよ……。 「それに、生徒会役員はもう満杯だよー。入る余地ないって」 「それはこう……偶然という名の必然というか、運命のイタズラで、生徒会入りしちゃうんだよ。俺とお前が同室のようにな」 確かに、まさか雫と同室になるなんて思わなかった。完全なランダムで部屋分けはされているはずだから、全然期待もしていなかったのに。気を遣わなくていいっていうのは、すごく楽で、正直助かっているけれど。 「うーん……本当に雫の妄想通りになったら、会長とイチャイチャしてあげるよ」 「むしろそっちのが妄想できねえわ」 「うん、俺も無理」 あの唐変木で無愛想で他人に興味の欠片もない生徒会長とイチャイチャするなんて、想像すらできない。雫的に喜ぶかと思ったけど、食い付きはイマイチだった。つまんない。 「まあどんなのが来ても、今まで通り適度にサボッて適度に楽しんで仕事ができれば良いかなー」 「本当に興味ねーのな」 「だって男でしょ?」 「どうする、女子と見間違う超絶美少年だったら」 「でも男でしょ?」     
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