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どうしてかな、思いと口から出る言葉が違う。これも私の運命か。
「ねぇ、父さん」
「なんだ?」
「私、嫁いだら、もう父さんには会わないね」
「え?おい、秋華!」
私は部屋に戻った。ドアを閉めその場に座り込む。
目を閉じ、もう一度深呼吸をした。つうと涙が流れてきた。
「ふふふっ、意外と私は結婚に憧れを持っていたのか」
この日の私は今までで一番自分の気持ちがわかった。でも、その気持ちも表に出すことはなく、消してしまった。気持ちなんて、わかったほうがつらいのかも。だから皆は悩むのか。
「なら、気持ちに気付かないようにすれば、私は悩まなくても済むのかも」
私は顔を膝にうずめた。
「大丈夫、明日になればまたいつもの私に戻れる。大丈夫、何も思わなければこの人生もすぐに終わる。大丈夫、今日は色々あったから混乱してるだけ。大丈夫、大丈夫、大丈夫…」
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