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息子5
家を出た俺はとりあえず漫画喫茶で生活していた。
婆ちゃんからのお小遣いはちゃんと貯金していた。割と額はあるがいつまでこの生活が続くかもわからない。大切に使っていかないと。
朝飯はなし、昼は購買で買い、夜は半額シールがついてからスーパーで弁当を買っていた。
この生活も2週間たった。
俺がスーパーで弁当を選んでいたとき声をかけられた。
「今日もお弁当?」
横にはスーツ姿の女が立っていた。
「誰?」
補導員だろうか。
「私会社帰りにいつも買い物して帰るんだけど、最近毎日お弁当買う君を見るから気になっちゃって」
「ふーん」
「学生でしょ?家は?」
「なんでもいいでしょ」
女はしばらく考えているようだった。
「うちくる?」
「は?」
俺は荷物を持って女の家に来ていた。
久々にちゃんとした飯を食べたくなった。あとちょっと、好奇心。
「何食べたい?お姉さんが作ってあげる」
「なんでもいい」
「うーん…じゃあ適当に作るわ、その間にお風呂入ってていいよ」
タオルを持たされ風呂場へと案内された。
ずっとシャワーばっかりだったから、ゆっくり湯船に使った。
俺は風呂から上がりリビングに戻った。
「できたよー…って、なんで服着てないの!」
「服忘れたから。何、身体目当てじゃないの?」
「そんなわけないでしょ!早く服着て!」
「普通男家にあげたらそういうことだと思うじゃん」
服を着ながら答える。女の様子を見ていたが、本当に体目的とかではないらしい。
「子供が何言ってんの。ほら、服着たら髪乾かすからおいで」
「は?」
「髪乾かしてあげる、座って」
ベットに座らされ後ろからドライヤーをかけられた。本当に子供扱いしかされてないんだな。
でも、ちょっと心地よくてされるがままにしていた。
「はい、おっけー」
「ん」
「よし、じゃあ食べよ!たくさん作ったから」
女が作った飯は温かくて美味しかった。
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