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妻2
「暁介さん」
私は思い人を見つけ、精一杯手を振った。
彼は私を見つけ少し微笑んだ後、眠たそうにあくびをした。
「はよ」
「もう11時ですよ?またギリギリに起きました?」
暁介さんは片手で目をこすりながら、首を上下にこくこくと動かした。
「アキに会うために早起きしてやったのに、そういうこと言うならもっと寝てりゃあ良かった」
「ふふっ、ごめんなさい」
「んっ」
彼はポケットに手を入れ少し歩き、顔だけこちらに向けた。これは腕に手を添えろの合図だ。
幸せだ。そのまま私は頭を彼の肩に乗せる。
「重い、歩きにくい」
「ごめんなさい」
私が頭をどけ笑顔でそう答えると、彼は少しだけ私を見つめ、また歩き出した。
「どこ行くんだ?」
彼は朝に弱いが私と会うために起きてくれる。もうお昼前ではあるけど。ギリギリまで寝るためいつもご飯は食べて来ない。今日もそのはずだ。
「まずご飯食べに行きましょう」
「ああ、だな。腹減った」
ほら、当たった。自然と笑みがこぼれる。隣にいる彼がどうしようもなく愛おしく感じ、彼の腕に体を寄せた。
「どした?」
「ううん、なんでもない。何食べます?」
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