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その墓地はブロック塀に囲まれている。
まるで無音の如く、墓地は静かであった。
ブロック塀の穴からはちょうど敷地内にある電灯が見え、その明かりで誰かの墓が見えた。
私は足早に通り過ぎようとした。
その時、何処からか一匹の白猫が現われ、私の前を横切った。
私がチチチと口を鳴らすと、白猫は立ち止まりこちらを向いた。
野良猫のようだが、まだ若いようで目を真ん丸くして私の事を見ていた。
しかし、私が腰を下ろし手を差し出すと、白猫は逃げるようにブロック塀の穴から墓地の中に入っていってしまった。
白猫に触れられず残念だったけど、おかげで恐怖心が少し和らいだことに感謝した。
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