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「んなわけないでしょおおおお!!!」
ドタバタと走ってくる音が聞こえたかと思うと、先程、この目の前のロボットが出てきたところとは別の場所が同じように開く。
服を着なおした少女は僕をにらみつけながら近寄ってきた。
その目にはもはや戸惑いの色はなく、燃え盛る業火のような怒りを宿している。
「こんな奴が私の友達なわけないじゃない!お母さん、早く警察に連絡して!」
「あらそうなのね。じゃあこの子誰?」
「そんなこと知ったこっちゃないわよ。こいつお風呂に忍び込んでたのよ!それで私のむ、む、胸を…」
少女の目に涙が浮かぶ。
思い出して僕は赤面する。
「いやいやちょっと待ってくれよ!僕だって何が何だかわからないんだ!」
「はぁ!?此の期に及んでそんな嘘がまかり通るとでも思ってんの?いいわ、それならお母さんの目を見て見なさいよ」
少女がロボットのことを指差す。
「お母…さん?」
人間がロボットを作り出すことは可能でも、ロボットが人間を作るなんてことは不可能だ。
少女とロボットを交互に見ていると、「いいから!」と少女が怒鳴ったので、僕はしぶしぶお母さんとやらの目のパーツを見た。
お母さんとやらも、やれやれといった態度で僕の目を見つめる。すると、
「スキャンシマス。シンリデータカイセキチュウ…」
お母さんとやらの声が人間の声ではなく、プログラミングされた機械が話しているような声に変わった。
沈黙の時間が3分ほど経過した時、お母さんとやらの視線が外れた。
「アイリス、この子嘘ついてないわよ」
どうだと言わんばかりの視線をアイリスと呼ばれる少女に送る。
そして不服そうなアイリスに、すかさず僕は一言放った。
「服を着せてくれないか」
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