第1章  第2節 『未来世界』

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+++ 「で、あんたはどこの誰なのよ」 僕は今、どこの誰とも知らない少女に尋問を受けている。 しかもエキセントリックな青い軍服を着て、わけのわからない卵型の椅子に座り、ふわふわと浮いている。 頭がついていかない。全く理解が追いつかない。 順を追って思い出してみよう。 まず服を着るために風呂場に行きたいと懇願した僕だったが、「あんたの服がこの家にあるわけない」「そう言いながら逃げるんでしょ」というアイリスの横暴によって却下された。 じゃあこの全裸のままでいいのかと僕が問うと、アイリスはしぶしぶ腕時計のようなものを操作した。 すると、またも白い壁に亀裂が入ったかと思うと、アイリスが立っている真横に箪笥の引き出しが開くように壁がせり出してきた。アイリスはそこから1着の真っ青な軍服を取り出すと、僕に渡した。 「お父さんのだから汚したら殺す」 目が本気だった。 美少女の軽蔑の眼差しはある人種からしたら大好物なのかもしれないが、僕にはそんな特殊な性癖はない。 服は、まるで僕のために仕立てられたのではないかと思うほどぴったりだった。 軍服なんてアニメや漫画などでしか見たことがなかった代物だ。まさか自分が着ることになるなんて想像もしていなかった。 ただ一つ気がかりなことは、下着を履いていないことだ。 直履き。なんだかスースーするような気がする。 そしてアイリスにちらっと目をやる。 あの服の下も下着をつけていないのだろうか。風呂場でのことを思い出し、僕はまた赤面した。 そんな僕を見て、アイリスはため息をつく。 「あんた今の状況わかってんの?」 「ご、ごめん。違うんだ、警察だけは勘弁してくれ。というより僕も何が何だかわからないんだよ」 呆れた顔をしたアイリスが、またも腕時計のようなものを操作する。 すると今度は、部屋の中央にあった卵型の腰掛けがもう一つ地面からせり上がってきた。 せり上がってきたというより貫通したという表現の方が正しいかもしれない。 穴も何もないのに、それは何の抵抗もなく現れたのだから。 アイリスが、その現れた方を指差して僕に座るよう指示する。 僕はそれに従い、恐る恐る座った。 僕が座った瞬間は深く沈んだものの、ふわふわと上下運動を繰り返しながら一定の高さで落ち着いた。 そして現在に至る。
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