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浴室のドアが開き、僕は凍りついた。
正確に言うと僕と、僕の目の前にいる少女の時も止まった。
少女は中々個性的な格好をしている。
軍服のようなデザインの服。メタリックな銀色に光るそれの、4つあるボタンの上二つを外しているために露わになっている豊満な胸。
右腕には服の上から大きめな腕時計のようなものをつけている。
目が覚めるような紫色をした髪は肩にかかるぐらいの長さだ。
身長は150センチ前後といったところだろう。二葉と同じくらいだ。
顔は…まぁ可愛い。
大きな愛らしい瞳、ハリのある肌は若さを強調し、目鼻立もはっきりしている。
人の好みは千差万別といえど、10人中8.9人は可愛いというだろう。
僕がのんきにそんな分析をしていると、少女と目が合った。
その少女の視線がだんだんと下がっていく。
あ、そうだ。僕今全裸だった。
「きゃあぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
胸を手で隠し、へたり込みながら発狂する少女。
僕は慌てて壁にかかっていたタオルで下半身を隠した。
「だれ!?なんで!!」
「いや!違うんだ。僕も自分の家のお風呂に入っていて、石鹸に滑って転んで気を失って…。そうだよここは僕の家じゃないか!君こそ誰だ!」
「はぁ!?ここはれっきとした私の家よ。何寝ぼけた事言ってるのよ!」
話が食い違っている。
全くわけがわからない。
そんな中、少女が右腕を僕の前に突き出した。
すると、その大きめな腕時計のようなものから何かが浮かび上がってきた。
ホログラムだ。
「これが私の家!!そしてここは私の家!!!」
少女の目は血走っている。
その家は僕が見慣れたあの家じゃない。
真四角で豆腐のような形。窓も玄関も見当たらない。これを家と呼ぶにはあまりにも暴力的だとさえ思う。
僕は全裸のまま、少女を押しのけて風呂の外に出る。
「ちょっと待ちなさいよ!」
少女の制止を振り切った僕の目に飛び込んできたのは、衝撃的なものだった。
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