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それは、夢にありがちな、
世界の縁取りが曖昧な
霧のかったような空間で。
視点の固定された世界は、
僕の手だけを写し続けていた。
何かを掴んで震える手は
僕の意志とは関係なく、渾身の力を加え続けているようで
ただそれだけが延々と続いているようだった。
ここはどこなのか。
僕は何をしているのか。
そんな事なんて気にすらならない
夢特有の無気力な世界で、
僕は息苦しさだけを感じていたが、
砂糖が水に溶けるように、
いつの間にか世界が淡い色合いになったかと思うと、
何かがひゅっ、と闇に落ちて……。
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