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古いビルが取り壊される理由は様々だが、最も多いのは『水まわり』と呼ばれる配管設備の老朽化だ。
ビルの血管ともいうべき送水配管が錆びて朽ちると、そこから漏れ出る水がコンクリート中に染み出して建物を支える鉄筋を浸食し腐らせる。密着していた鉄筋とコンクリートの間にできた隙間には、さらに多量の水が流れ込んで遂に腐食はビルの骨組みである鉄骨鋼材に及ぶ。
こうなったらお互いに助け合うことで何百トン何千トンの自重を支えていた鉄筋コンクリートのバランスは崩れ、自らの重さに耐えられなくなったビルは倒れる、あるいは崩れ落ち、建物としての寿命を終える。
これが鉄筋コンクリート建造物の一生である。
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