新たな一歩

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カウンターのお客さんとお話してると (女将さん 電話番号教えて下さい) (あ…名刺で良い?) (ありがとうございます また来ますので) (あら もう帰るの?今日はありがとうございます またのお越しを…) ママたちとゆっくり話す時間はなく 12時まで仕事をして店を閉めた 店は6時~12時までと決めていた (尚子さん お疲れ様でした 疲れたでしょ?これ 良かったら食べて) (ありがとうございます 食費浮いちゃいます) 暖簾をしまい 灯りを消して二階に上がった (スナックより早く終わるから 少しは違うかな…) (お疲れ~) (起きてたの?華寝てる?) (うん お利口さんだよ ) 次の日中村さんから電話が入り 誰も雇わないよね?と言われた (今は厳しいかな お給料払える余裕が…) (そうですね~) (まさか中村さんが?) (違いますよ 昨日手伝った浅木なんだけど) (あ…京都の老舗で働いてた?) (そう 浅木その料亭に10年勤めてたんだけどね 店主とじゃないけど トラブって 浅木は悪くなかったんだけど そこを辞めて居酒屋に数年働き 中々自分の腕を発揮出来る店に巡り会わなくて 今に至ります) (そんな方なら尚更 お給料払える金額は…) (じゃ…試しに時給制で 女将さんが見て決めても ) (私はそんな見極めなんて 畏れ多くて出来ないわよフフフ) (居酒屋も雇われで時給制だったから 大丈夫じゃないかな ) (勿体ないよね 板前さんでしょ?) (そうなんですよ 魚の目利きは鋭いですよ) (そんな勝手に決めて良いの?) (頼まれたから 大丈夫です) (じゃ 今日からちょっと来て貰うように伝えて欲しい) 凄い押しに負け 浅木さんを雇う事にした お昼過ぎに 浅木さんは見えて 任せて貰えれば 何でも作りますとの事だった 自分の母親は京都出で 以前京料理を出してた頃評判良かった事を伝えた (京料理は見た目も重視しますからね…) (じゃ 今日任せて見ます 今から買い出しに行きましょ) その日は 浅木さんの車で買い出しに出掛けた (今日は生物は無理だから 京野菜料理にしましょう) 手際よくカゴに入れて行く … (昨日のお客さん流れで これくらいが無難でしょうね) 店に着き (あ…忘れてました これ調理師資格と刃物取得資格です) 浅木さんは木箱を開け 自分の包丁を見せた 丁寧に白い布にくるまれてある
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