第一章 「生徒会長様」

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 いつもより早口な会長様が、言わんとすることがわからない。 「いや、わかりますよ。ただ、事実だけが大事じゃないですか」 「……気持ちは必要ないのかしら」 「少なくとも、こう歴史を語る場においては」  史実を語る時、私情を挟んでは本当の真実が曖昧になってしまう気がする。 「私は、そうは思えないわ。これは殺されたのよ」  織田信長が登場するページでもないのに、何故そんな話をするのだろう。 「どうしてですか、一応は自分で命を絶った。そうでしょう」 「あなたは、想像力はあるのにそれをしないタイプ?それとも、えっとわからないの」  いつもより早口な会長様が、言わんとすることがわからない。 「いや、わかりますよ。ただ、事実だけが大事じゃないですか」 「……気持ちは必要ないのかしら」 「少なくとも、こう歴史を語る場においては」  史実を語る時、私情を挟んでは本当の真実が曖昧になってしまう気がする。 「私は、そうは思えないわ。これは殺されたのよ」 「まぁ、部下の裏切りは相当なショックでしょうけど、この人は自害です」 「いえ、もう殺される運命しか残されていないとき、この時代のこういう人は自害という道を選ぶ以外に、選択肢がなかったのよ」     
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