第一章 「生徒会長様」

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 はっきりとした否定ではなく、おずおずとした、何というかはっきりしない否定だった。ただ、その瞬間さっきの耳鳴りがする。彼女の声が、遮られた。また、彼女の声が聞こえない。 「今なんていいました?」 「え、聞こえなかった?樟山くん耳、ちょっと悪いの?」  そんなことはない。入学時の検査にも引っかからなかった。 「いや……」  彼女は、あの否定のあと何を言ったのだろう。 「まぁいいの。なんでもない、ちょっと、ちょっとね」  気になって仕方がない。彼女のため息が耳に障った。 「何でも知っているのよって、自慢をしたかっただけ」  彼女は“私は、ボランティア作業も終ったしそろそろ帰るわ”と、そう言って教室に僕を一人残して去っていった。補習が終る17時半まで、課題を解きながら彼女のことを考えていた。
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