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大晦日の前日の夜11時まで俺は所謂、不良仲間たちと遊んだ。家路につくと、急に訪れた静寂に包まれる。いつもは日を跨ぐほど騒ぐのに、年の瀬だからかそれとも寒いからか、気づいたら解散の流れになっていた。
「家に帰るの、クソほど億劫」
そう言ってため息をつくと、後ろから声が返ってきた。
「語彙力があるのか、ないのかはっきりしない文ね」
この時間にはもうベッドに入っていそうな、夜に似つかわしくない女だった。
「また補導ですか、今日タバコ持ってないですよ」
「いいえ、補導じゃないわ」
「っていうか、会長様なのにこんな時間に出歩いていいんですか」
彼女が生徒会長じゃなくても、女子高校生が出歩いていい時間ではない。
「秀才樟山くんこそ、補習明けくらい勉強したら?どうせ遊び帰りでしょ」
「秀才?何、世迷言を」
「世迷言って使ってみたかった?」
「……」
「今日くらい、いいじゃない。悪いことしたって」
「生徒会長様に悪いことなんて似合いませんって、仕方もわかんないでしょ」
「クソほど秀才な樟山に教えてもらうわ」
「……汚い言葉の使い方もいります?」
「馬鹿にしないで」
怒った顔はなんだかいつもより女っぽかった。
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