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その次、生徒会長様に会ったのは年が明けて4日目。面談でのことだった。進路希望を白紙で提出して、また注意されてからも白紙で提出、この間の面談の時のものも白紙で出したから、先生もその場で書かせようと思ったのだろう。呼び出しを食らった。
樟山くん、と後ろから声をかけられて驚く。職員室を出て、すぐに声をかけられた。もう18時だった。
「会長様は補習ですか?」
「いいえ、今回も私は補習ではないわ」
「じゃぁなんですか、いつものお仕事ですか」
「確かに、火の用心のポスターの印刷はしたわ」
「なんでこんな時間までいるんですか、下校時刻大丈夫ですかこれ」
「今18時ね、大丈夫じゃないわ。でも」
機械音のようなもので彼女の声が遮られた。小さな音のように聞こえたのに、その音が終るまで彼女の声は聞こえなかった。いや、彼女がそんな音を出しているように聞こえた。耳鳴りの一種なのか、それともなんなのか。どうでもよかったから、適当に話を続ける。
「今日も寒いっすね」
「えぇ」
「会長様は学校から家、近いんですか?」
「……ちょっと遠いわ、あなたの家の近くよ。あなたの家の前までついていくつもり」
「え、なんだか逆な気がするんですが」
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