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「……そうか! ならば……早速……シェキーナ様をお迎えに行こう!」
そう告げたレヴィアは席を立ちあがり、今にも部屋を飛び出して行きそうな勢いだった。
だが彼女は、一旦扉の前で立ち止まりアエッタへと振り返った。
「……アエッタ……。お前は……どうするのだ?」
当然、レヴィアは自ら城を発ちシェキーナを迎えに行くつもりなのだろう。
しかしアエッタがどうするのかを確認していなかったのだ。
消耗し傷心のシェキーナを迎えに行くのに、何も大人数で向かう必要はない。
移動速度も考えれば人員は少ない方がよく、レヴィアは一人でシェキーナの元へと向かうつもりだったのだ。
「私も……行きます……」
ゆっくりと眼を開いたアエッタが、レヴィアに正対してそう答え、それを受けたレヴィアは頷いて部屋を後にしたのだった。
一時とは言え城を留守にするのだ。
外敵の脅威を殆ど考えなくても良いとはいえ、未だ眠りにあるエルナーシャを置いて城を離れるのだから、それなりに準備が必要だった。
エルナーシャの世話に城の警護……。
自身が有する直属の部下にその大半を任せ、その他の事は政務を担当する者達に依頼し、準備を整え次第レヴィアは城を発つつもりであった。
レヴィアの出ていった部屋の扉を見つめながら、アエッタはもう一度ゆっくり目を瞑り“使い魔”に己の意識を接続した。
再び彼女の意識には、超高高度を飛ぶ魔鳥の視界が飛び込んでくる。
先程よりも更に高度を落とし、アエッタはゆっくりと周囲を見回した。
そこにはやはり……生きている人は……いや人だけではなく生物自体が存在していなかった。
僅かに吐息を洩らしたアエッタは、そこにある物を見つけた。
「……あれは……」
それらを確認したアエッタは再び目を開き、ゆっくりと窓の外へと視線を向け。
「……メルル様……」
押し留めていた哀しみを、ゆっくりと開放したのだった。
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