プロローグ

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 勇者エルス=センシファーは、人界の勇者として魔界に君臨する魔王を倒すも、その場に現れた聖霊ネネイにより「ラスト・クエスト」を言い渡されてしまった。  その内容は、聖霊ネネイの手渡した「魔王の卵」を孵し育てると言うもの。  勇者であり魔王を倒したばかりのエルスは忌避感を示すも、聖霊ネネイの脅迫とも取れる説得により断腸の思いでその卵を受け取り育てる事となった。  そしてそれは、長く苦しい旅を共にした仲間達との決別を意味していたのだった。  最愛の女性であり優秀な僧侶であったアルナ=リリーシャを始め、彼女に付き従う“極戦士”シェラ=アキントス、優れた盗賊であり凶悪な暗殺者(アサシン)である“音無し”ゼル=ナグニス、飄々とした風貌を持つ“双槍使い”ベベル=スタンフォード。  この4人が、かつての仲間でありパーティのリーダーであったエルスを追った。  その理由は様々だが、最たるものはやはり、 「エルスが魔王になった」  と言うものが大勢を占めていた。  勿論、エルス本人にそんな気など更々無かったのだが、聖霊ネネイがそう一同に伝えエルス自身が否定できない状況であったのならば、それを信じても仕方の無いと言うものであった。
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