プロローグ

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 次期魔王と目されるものの名は……エルナーシャ。  エルスを「父」と呼ぶ少女を前に、彼はエルナーシャを置いて魔界を去る事も、彼女を連れて逃避の旅に出る事も出来なかった。  可能な限り時間を稼ぎ、エルナーシャの成長を見守るエルス達。  しかし、刻のうねりは彼等に安息の時間を長くは与えなかった。  紆余曲折を経て、両陣営は正面切って争う事となったのだ。  最早逃げる事も許されないエルス達は、魔界へと進軍して来たアルナ達と人界の軍隊を相手取って戦いを繰り広げる。    周囲を灰燼に変え、元勇者パーティの面々は互いに死闘を演じ続けた。  そして1人……また1人と……。  エルスの目の前で、かつての仲間達が散っていった。  やがて最後に残されたエルスとアルナの戦いも、メルルが終止符を打ったのだった。  メルル自らをも燃やす翠色の炎は、その地に残る全てを呑み込み。  彼女自身とエルス、そしてカナン、シェラ、ゼルの肉体をも燃焼せしめたのだった。
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