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「……そうか……」
レヴィアには、それだけしか口にする言葉が思い浮かばなかったのだった。
戦いは終わり、アエッタが失意に愕然とするほどなのだ。
それがエルス達の勝利である筈等無かった。
「……それで……生存者は……?」
勝利で無いのならば……敗北である。
エルス達が戦いに負けたと言うのであれば、この場合の「生存者」とは敵の生き残りを指す。
絶大な力を持っていたエルスやメルル、シェキーナやカナンが敗れ去ったのだから、今の魔界にアルナ達を迎え撃つ事の出来る者など居ない。
それでも魔界の為に……エルス達の為に……。
そして何よりもエルナーシャの為に、レヴィアは命を賭してアルナ達と対峙しなければならないと考えていたのだ。
レヴィアの更なる問い掛けに、アエッタは再び「視る」事に注力した。
先程からアエッタは、自らの放った“使い魔”の見ている映像を必死になって読み取っていたのだった。
超高高度からの視界……。
それは、魔界に生息する巨大な鳥の視た映像に他ならない。
ここでいう「使い魔」とは、何も魔法で作り出した黒い猫やら召喚した鴉だ等と言った“化け物”の類では無い。
現存する生物に己の魔力を植え付け、意のままに操ると共にその生物が見た景色や聞いた話を術者が知る事が出来ると言うだけの代物……所謂催眠術や暗示に近い物である。
対象者にどれ程の術を仕掛けるかで、出来る事は増減し効果時間も長短する。
そして今アエッタは、魔鳥を思いのままに操りその視界を我がものとする様に術を仕込んでいたのだった。
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