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「……しょ……少々お待ちを……。未だ砂煙が激しく……視界が……」
動揺を隠しきれないアエッタが、僅かに言葉を詰まらせながらそう答えた。
メルルの使用した術により、周囲一帯が焼き尽くされた事に違いは無い。
それでも一切の生存者が皆無かと言われれば、アエッタにもそうは断言出来なかったのだった。
敵はエルス達と互角以上に戦って見せたのだ。
如何なメルルの命を賭した爆炎であっても、それで安心して魔鳥を近づける様な愚は犯せなかったのだ。
「……あれは……」
そしてアエッタは、遥か遠方に高速で移動する影を視認した。
傍らで彼女の言葉を聞いていたレヴィアが、知れずゴクリと息を呑む。
「あれは敵の……傷ついた女性を男性が抱え、高速で離脱して行きます……。あれは……エルス様と最後まで戦っていた僧侶の女性……アルナと言いましたか。……それに……2本の槍を操っていた男……ベベルと言う者ですね……」
明確に人相と名前が一致していた訳では無いアエッタだったが、それがアルナとベベルであると言う事を確信していた。
それはメルルから聞いていたアルナ達の特徴と一致していたからだった。
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